歌唱力
技術:★★★★★★★
個性:★★★★★★★
↓判定基準の詳細についてはこちらをご参照ください。
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委員会コメント
ロイ・カーンはオペラを本格的に学んだ経験もあり発声やテクニックのレベルも非常に高い。ファルセットを駆使した繊細な歌唱を得意とし、またそのチェストボイスは甘く妖艶とも言えるほどの魅力を持っている。簡単に言うと超絶なイケボだ。
ハイトーンも出ないわけではないが、どちらかと言うと低音~中音域で魅力を発揮するボーカリストだ。
エモーショナルで繊細な歌唱を得意とするロイ・カーンだが、音響の影響を受けやすい歌唱スタイルと言える。特にメタルという爆音の中での歌唱はさすがに難しい事もありライブでは若干不安定になる事もしばしばだが、実力のあるボーカリストである事は間違いない。またライブパフォーマンスもかっこいいんだコレが。
彼はルックスも良いのですが、どこかエキゾチックな風貌があると思っていたらノルウェー人とタイ人のハーフだったんですね。
プロとしての活動初期はノルウェーのプログレッシブ・メタルバンド『Conception』に在籍し『神の声』と形容されたほどで、当時ビクターエンタテインメントから出ていたオムニバスアルバムのピュア・メタル・サンプラーVol.2に『Black On Black』、Vol.5には『Some Wounds』が収録された。
Conceptionのリーダー兼ギタリストであるトゥーレ・オストビーのフラメンコをベースにしたギタープレイが冴えわたる名曲であった。
この当時のロイ・カーンの歌唱はKamelot時代とは発声が異なり声に厚みが無かったが高音は良く出ていた。声質もハスキー成分が多くDOKKENのボーカリストのドン・ドッケンを彷彿とさせるものがあった。
1996年にGAMMA RAYの前座で来日も果たしているが、日本での知名度はコアなメタルファンなら知っているという程度であったと記憶する。
ロイ・カーンが、一躍名を馳せたのは1997年から加入したシンフォニック・パワーメタルバンド『Kamelot』であったが、残念ながら人気の絶頂とも言える時期に病気にかかり2011年4月に脱退し、しばらく音楽から遠ざかる事になってしまう。
『燃え尽き症候群』と言って、うつ病の一種だったそうだ。
Kamelot脱退直前のライブの映像をYouTubeで観ることができるのだが、そこには、とても苦しそうな表情を浮かべながら歌うロイ・カーンがおり、優秀なボーカリストであるはずの彼がろくに音程もリズムも取れないほどボロボロになっていた。心の病気にかかっているのだと一見して分かる映像だった。
今回の判定会議で久々にその動画を観る事になったのだが、同じ歌を歌う者として筆者含め他の委員メンバーも居た堪れない気持ちになりとても見ていられないかった。
いつもはYouTubeで様々な動画を観られる事に感謝しているが、この動画だけは…ですので、ここまで書いておきながら申し訳ないですが、その動画は紹介するのは控えさせていただきます。すみません。(^^;
Kamelotを脱退しその後の歌手生命を危ぶまれていたロイ・カーンであったが、2018年、ソロで活動を再開しYouTubeで新曲を披露しその歌唱力が健在である事を証明した。
また先述のConceptionを再結成し順調にアルバムもリリースしファンの心配も一気に吹き飛んだことだろう。今後の活躍に期待したい。
ロイ・カーンのエモーショナルな歌唱が再び聴ける事に本当に感謝したい。優れたボーカリストが復帰してくれて本当に良かった!